キャラクター設定シートの作り方:魅力的なキャラを生み出す技術
同人音声のキャラクター設定シートの書き方を解説。性格、口調、バックストーリーの作り込み方から声優さんへの伝え方まで。
設定シートがないと、キャラがブレます
ぬまぬまです。
同人音声を何本か作ってきて確信していることがあります。キャラクター設定をちゃんと作り込んだ作品は、台本の質が明らかに違う。
最初の作品は「なんとなくお姉さんキャラ」みたいなふわっとした状態で台本を書き始めました。結果、前半と後半で口調が微妙に変わっていたり、性格がぶれていたり、声優さんから「このキャラってどういうテンションで話す人ですか?」と質問が来たりして、自分でも答えに詰まるという情けない事態になりました。(経験者は語る)
設定シートを作るのは面倒に見えるかもしれません。でも、結局のところ台本を書くスピードも声優さんへの指示も、設定シートがあるかないかで全然変わってきます。
この記事では、設定シートに何を書くべきか、どうやってキャラに深みを出すか、そして声優さんに伝わる形にするにはどうすればいいかを整理していきます。
設定シートがなぜ重要なのか
設定シートが機能する場面は大きく3つあります。
1. 台本の一貫性を保つ
30分の作品でも、書いているうちにキャラがぶれることはあります。「この子はこういう言い回しをする」「この状況ではこう反応する」という指針があるだけで、セリフの方向性で迷う時間が激減します。
2. 声優さんへの演技指示
声優さんはキャラの設定を知らないと演技プランが立てられません。台本だけ渡しても「この子は元気な子? おとなしい子?」がわからないと、演技のトーンが定まらないですよね。設定シートは声優さんにとっての地図です。
3. イラスト依頼にも使える
サムネイルのイラストを依頼するとき、キャラの見た目や雰囲気を伝える資料にもなります。「ショートヘアで活発な感じの女の子」という一文があるだけで、イラストレーターさんの仕事がスムーズになります。
設定シートに書くべき項目
必須の項目と、あると良い項目に分けて整理します。
必須項目
| 項目 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 名前 | フルネームまたはニックネーム | 雪村 凛(ゆきむら りん) |
| 年齢 | 年齢または年齢帯 | 22歳 / 大学4年生 |
| 性格 | 3〜5個のキーワード | しっかり者、世話焼き、照れ屋 |
| 口調 | 一人称、語尾、話し方の特徴 | 一人称「あたし」、丁寧語ベースだけどたまにタメ口 |
| リスナーとの関係性 | どういう立場で話すか | 幼馴染、先輩、彼女 |
| 声のイメージ | トーン、テンポ、声質の方向性 | 落ち着いたアルト寄り、ゆっくりめ |
あると良い項目
| 項目 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 外見 | 髪型、目の色、服装 | 黒髪ロング、メガネ、白いワンピース |
| 背景設定 | 職業、趣味、過去のエピソード | 看護師、読書好き、猫を飼っている |
| 好き・嫌い | 性格の肉付け | 甘いもの好き、虫が苦手 |
| クセ・口癖 | キャラの個性 | 考えるとき髪を触る、「〜だよ?」が口癖 |
| NG要素 | このキャラが絶対に言わないこと・しないこと | 乱暴な言葉は使わない |
全部埋める必要はありません。「台本を書くときに迷わない程度」の情報があればOKです。 僕は最低限「性格」「口調」「リスナーとの関係性」の3つだけは必ず決めてから書き始めるようにしています。
口調設計のコツ
同人音声において口調はめちゃくちゃ重要です。聴き手にとってキャラの「声」は音声そのものなので、口調がキャラの個性の大部分を担っていると言っても過言じゃないです。
口調を構成する要素
| 要素 | 選択肢の例 |
|---|---|
| 一人称 | 私 / あたし / わたくし / うち / ボク |
| 語尾 | 〜です / 〜だよ / 〜なの / 〜じゃん / 〜ですわ |
| 敬語レベル | 丁寧語 / タメ口 / 混在 / 敬語崩れ |
| テンポ | ゆっくり / 普通 / 早口 / 場面で変化 |
| 特徴的な言い回し | 口癖、感嘆詞のクセ |
口調の一貫性チェック
口調を決めたら、いくつかのシチュエーションでテストしてみるのがおすすめです。
- 普通に挨拶するとき
- 嬉しいとき
- 怒ったとき
- 照れているとき
- 寂しいとき
感情が変わっても「この子の言い方だ」と感じられるかどうかが基準です。嬉しくても怒っていても、その子らしさが出る口調になっていれば合格。
僕はこのチェックをサボって台本を書き始めたことがあって、終盤で「あれ、この子こんな言い方するっけ?」と気づいて大幅に書き直す羽目になりました。最初にやっておけば30分で済んだのに。
キャラの深みを出すテクニック
矛盾を入れる
完璧なキャラは退屈です。しっかり者なのにたまにドジをする、クールなのに猫を見ると崩れる——こういう矛盾こそがキャラを人間っぽくします。
設定シートに「基本性格」と「例外」を書いておくと、台本のアクセントになるシーンが自然に生まれます。
基本: しっかり者で面倒見がいい
例外: 高いところが苦手で、そのときだけ年齢より幼くなる
ギャップを設計する
ギャップは同人音声の王道パターンです。
| 表面 | 実は… |
|---|---|
| クールで無表情 | 内心めちゃくちゃ照れてる |
| 元気で明るい | 一人になると静かになる |
| 強気な先輩 | 甘えたいときがある |
| おとなしい後輩 | 好きな人の前では積極的 |
ギャップが発動する瞬間は、作品のハイライトになります。 台本でその瞬間を効果的に演出するためにも、設定シートの段階でギャップを明確にしておくのが大事です。
過去のエピソードを1つ決める
キャラの行動原理に説得力を持たせるために、過去のエピソードを1つだけ決めておくと良いです。全部を台本に盛り込む必要はないのですが、書き手がキャラの背景を知っていると、セリフの選び方が変わります。
例えば「子供の頃に引っ越しが多くて、友達を作るのが苦手だった」という設定があれば、リスナーとの距離感の取り方に自然とその子の歴史が滲み出てきます。
声優さんへの共有方法
設定シートを作ったら、声優さんに渡す形に整えます。ここで大事なのは**「読みやすさ」**です。
伝わる設定シートの書き方
- A4で1枚以内に収める: 長すぎると読んでもらえません
- 箇条書きを活用する: 文章で書くより視認性が高い
- 優先度をつける: 「ここだけは押さえてほしい」ポイントを明示する
- 参考音声・参考キャラを添える: 「○○(作品名)の○○みたいなイメージ」と伝えると一気に伝わる
設定シートのテンプレート例
【キャラクター設定シート】
■ 名前: 雪村 凛(ゆきむら りん)
■ 年齢: 22歳(大学4年生)
■ リスナーとの関係: 幼馴染(付き合う前の微妙な距離感)
■ 性格:
- しっかり者で世話焼き
- でも本人はリスナーに甘えたいと思っている(なかなか素直になれない)
- 照れると早口になる
■ 口調:
- 一人称「あたし」
- 基本は丁寧語寄りのカジュアル敬語
- 照れると「……べ、別に」系のセリフが出る
- 口癖「〜だよ?」
■ 声のイメージ:
- 落ち着いたアルト寄り
- 普段はゆっくり、照れると少しテンポが上がる
■ 最も大事にしてほしいポイント:
→ 世話焼きの裏にある「本当は甘えたい」気持ちの表現
当サイトのキャラクター設定シート作成ツールを使えば、項目に沿って入力するだけで設定シートが完成します。ゼロから書くのが面倒な人はぜひ使ってみてください。
<CalloutBox type="tip">声優さんに設定シートを渡すとき、「絶対にこの通りに」というニュアンスではなく「この方向性でお願いします、細部はお任せします」と伝える方が良い演技を引き出せます。声優さんは演技のプロなので、余白を残すのも大事です。</CalloutBox>
ネタ出しに困ったら
キャラが思いつかない、設定が浮かばない——そういうときは台本・セリフ生成ガチャでランダムなお題を引いてみるのも手です。「お姉さん × 看護師 × 雨の日」みたいな組み合わせが出てきたら、そこから設定を膨らませていく。完全な偶然からキャラが生まれることって意外とあります。
僕も台本ガチャでお題を引いて「え、この組み合わせ面白いかも」となったことが何度かあります。発想のきっかけは意外なところにあるものです。
よくある質問
Q: キャラ設定はどこまで細かく書けばいいですか?
台本を書くときに迷わない程度で十分です。設定シートを作ること自体が目的にならないように注意してください。 「性格」「口調」「関係性」の3項目が固まっていれば、台本は書き始められます。追加設定は書きながら決めていっても大丈夫です。
Q: 既存キャラのオマージュはありですか?
性格や口調を参考にするのはありです。ただし、名前や設定をそのまま使うのは著作権の問題が出てくるので避けた方がいいです。「○○みたいな雰囲気のキャラ」を出発点にして、自分なりのオリジナリティを加えていくのが安全なやり方です。
Q: 1作品に複数キャラを出す場合のコツは?
キャラ同士の口調がかぶらないようにするのが一番大事です。2人とも「〜だよ」語尾だと、聴いている側が誰が話しているかわからなくなります。一人称、語尾、テンポを意図的にずらしてください。
Q: シリーズもので同じキャラを使い回す場合は?
設定シートをバージョン管理するのがおすすめです。1作目の設定をベースに、2作目で成長した部分や変化した関係性を追記していく。キャラが変化していくこと自体がシリーズの魅力になります。
まとめ
キャラクター設定シートは、台本を書くための「下書きの下書き」みたいなものです。地味な作業に見えますが、ここに時間をかけた分だけ、台本のクオリティと制作効率が上がります。
まずは「性格」「口調」「リスナーとの関係性」の3つだけ決めてみてください。そこからキャラが動き始めます。キャラクター設定シート作成ツールで項目を埋めていくだけで設定シートが完成するので、最初はそこから始めてみるのもいいと思います。
台本の書き方ガイドも合わせて読むと、設定シートから台本に落とし込む流れがイメージしやすくなるはずです。キャラが魅力的なら、作品は半分成功しているようなものです。