同人音声のSE・BGM素材の選び方と著作権の基礎知識
同人音声制作に欠かせないSE(効果音)・BGM素材の入手方法、著作権の注意点、効果的な使い方のコツを解説します。
SE・BGMは作品の「空気」を作る
ぬまぬまです。
声優さんの演技が最高でも、SEとBGMがショボいと作品全体の印象が一気に安っぽくなります。逆に、声の演技に雨音や環境音をうまく重ねるだけで、作品の没入感が何段階も上がるんですよね。
僕が最初に作った作品は、SE選びをかなりテキトーにやってしまいました。耳かき音声なのに耳かきのSEが「シャリシャリ」って感じの雑なやつで、完成品を聴いたとき「これは……まずい」と思いました。(反省してます)
2作目からSEにちゃんとこだわるようにしたら、レビューで「音の作り込みがすごい」と書いてもらえたんですよね。SEは地味だけど、作品の評価に直結する要素です。
この記事では、SE・BGM素材の探し方から著作権の注意点、効果的な使い方まで整理していきます。
無料SE素材サイト比較
まずは無料で使えるSE素材サイトを比較してみます。
| サイト | 商用利用 | クレジット表記 | 品質 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 効果音ラボ | 可 | 不要 | 高い | 日本語で使いやすい、種類豊富 |
| DOVA-SYNDROME | 可 | 素材による | 高い | BGMが特に充実 |
| 魔王魂 | 可 | 必要(素材による) | 高い | ゲーム系BGMが豊富 |
| Freesound | 素材による | 素材による | ばらつきあり | 圧倒的な素材数、英語 |
| On-Jin〜音人〜 | 可 | 不要 | 高い | 生活音・環境音が豊富 |
効果音ラボは僕が一番お世話になっているサイトです。日本語で探しやすいし、商用利用OK・クレジット不要という太っ腹な利用規約。同人音声で使う環境音や生活音がかなり揃っています。
DOVA-SYNDROMEはBGMを探すときに重宝します。雰囲気別・楽器別で検索できるので、作品のイメージに合った曲が見つかりやすいです。
<CalloutBox type="tip">無料素材サイトは利用規約が変更されることがあります。使う前に必ず最新の利用規約を確認してください。「前は大丈夫だったのに……」という事態は避けたいですよね。</CalloutBox>
有料素材のメリット
無料素材でもかなりのことができますが、有料素材にはやっぱり強みがあります。
| サービス | 料金体系 | 特徴 |
|---|---|---|
| Artlist | 年額サブスク | 高品質BGM、商用利用OK |
| AudioJungle | 1素材ごとの買い切り | 圧倒的な素材数 |
| Soundsnap | 月額 / 年額 | SE特化、プロ品質 |
| Epidemic Sound | 年額サブスク | BGM・SE両方充実 |
有料を使うべきタイミング
正直、最初から有料素材に手を出す必要はないと思います。無料素材で作品を何本か出してみて、「ここの音をもっとこだわりたい」と感じたときに有料を検討するのが健全です。
僕が有料素材に切り替えたのは3作目くらいからです。特に環境音(雨音、風の音、虫の声など)は有料の方が圧倒的にバリエーションが豊かで、「あ、この雨音が欲しかった!」という体験が何度もありました。
著作権・ライセンスの基礎知識
ここからが一番大事なところです。著作権まわりの失敗は取り返しがつかないので、ちゃんと理解しておきましょう。
よく見るライセンスの違い
| ライセンス | 意味 | 商用利用 | クレジット表記 |
|---|---|---|---|
| CC0 | 権利放棄、何でもOK | 可 | 不要 |
| CC-BY | クレジット表記すれば自由に使える | 可 | 必要 |
| CC-BY-NC | 非商用のみ | 不可 | 必要 |
| ロイヤリティフリー | 使用料なしで使える(著作権は放棄されていない) | 素材による | 素材による |
| 著作権フリー | 著作権が消滅 or 放棄されている | 可 | 通常不要 |
一番の注意ポイント
「フリー素材」は「何でも自由に使える」という意味ではありません。 ここを誤解している人がかなり多いです。
「フリー」の意味は素材によって違います。
- 無料(Free of charge)なだけで、利用条件はある
- ロイヤリティフリー(使用料無料)だけど、ライセンス購入は必要
- CC0(著作権放棄)で本当に何でもOK
必ず素材ごとの利用規約を読んでください。「たぶん大丈夫だろう」で使うのは、本当にやめた方がいいです。
同人作品での注意点
同人音声で素材を使う際に、特に気をつけるべき点をまとめます。
- 再配布の禁止: 購入者がSEだけを抜き出して配布するのはNG。ただし作品に組み込まれた状態での販売はOKという規約が一般的
- クレジット表記の方法: 作品の紹介文やReadmeファイルに記載するのが一般的。DLsiteの作品ページ下部に書いているサークルも多い
- 加工の可否: 素材の加工(ピッチ変更、エフェクト追加など)がOKかどうかは素材による
- R-18作品での使用: 素材によってはアダルト作品での使用を禁止している場合がある。見落としがちなので要注意
SE・BGMの効果的な使い方
素材を手に入れたら、次は使い方です。ここの腕前で作品のクオリティがかなり変わります。
音量バランスの目安
同人音声で最も重要なのは声です。SE・BGMは声を引き立てるための存在であって、主役を食ってはいけません。
| 要素 | 音量の目安 |
|---|---|
| 声(メイン) | 基準(0dB) |
| BGM | -15dB〜-20dB程度 |
| 環境音 | -10dB〜-15dB程度 |
| SE(耳かきなど) | -5dB〜-10dB程度 |
あくまで目安なので、最終的には自分の耳で聴いて調整してください。 イヤホン・ヘッドホンで聴いたときに声が自然に聞こえるバランスが正解です。
僕は最初BGMを大きくしすぎて、声が聴き取りにくいと指摘されたことがあります。「BGMいい曲だから聴いてほしい」という気持ちが出すぎてしまった。BGMは空気であるべきです。
フェードイン・フェードアウト
SE・BGMの開始と終了は、いきなりブツ切りにせずフェードを入れるのが基本です。
- フェードイン: 0.5〜2秒かけてじわっと音が入る
- フェードアウト: 1〜3秒かけて音が消えていく
- クロスフェード: トラック間の切り替えで音が途切れないようにする
特にトラックの切り替わりでBGMがブツッと切れるのは、聴いている人のテンションも切れます。意外とここで手を抜いてる作品が多い印象です。
環境音の重ね方
環境音を1種類だけ使うよりも、2〜3種類を薄く重ねた方がリアルな空間が作れます。
例えば「雨の夜」のシーンなら:
- 雨音(メイン環境音)
- 遠くの雷(アクセント)
- 時計の秒針(室内感の演出)
やりすぎ注意ですが、重ねるテクニックを覚えると表現の幅がかなり広がります。 僕は環境音にハマりすぎて、一時期やたらと音を重ねまくる時期がありました。結果、ごちゃごちゃしてレビューで「音が多い」と言われました。(学んだ)
ASMR系のSEは特にこだわる
ASMR・耳かき系の作品では、SEのクオリティが作品の評価にダイレクトに影響します。
- 耳かきSE: 竹耳かき、梵天、綿棒など素材ごとに音が違う
- 耳舐めSE: リアルすぎるとキツいし、軽すぎると物足りない。バランスが命
- タッピングSE: 素材と叩き方で無限にバリエーションが出る
ASMR系のSEは無料素材だけだと限界を感じやすいジャンルです。ここに投資する価値は大いにあると思います。
自作SEのススメ
市販の素材で見つからない音は、自分で作るのも手です。
フォーリーの基本
フォーリーとは、身近なもので音を作る技術のことです。映画やアニメの現場でも使われている手法ですね。
| 作りたい音 | 方法の例 |
|---|---|
| 足音 | 靴を手で持って床に当てる |
| 耳かきの音 | 実際に耳かきをマイクの近くでやる |
| 水の音 | コップに水を注ぐ |
| 布の音 | 服をマイク近くでこする |
| 雨音 | シャワーをバケツに当てる |
自作SEはオリジナリティが出るのが最大の強みです。「他の作品と被らない音」は差別化ポイントになります。 ただし、録音環境のノイズには気をつけてください。ノイズまみれの自作SEを使うくらいなら、クリーンな市販素材の方がいいです。
BGMの選び方のコツ
シーンに合った雰囲気を選ぶ
BGMは「なんとなく良い曲」ではなく、シーンの感情に寄り添う曲を選ぶのが大事です。
| シーン | 向いているBGM |
|---|---|
| 日常パート | アコースティック、軽いピアノ |
| 癒し・安眠パート | アンビエント、lo-fi |
| 感動的なシーン | ストリングス、ピアノバラード |
| コミカルなシーン | ウクレレ、マリンバ |
BGMなし、という選択肢
全編BGMを流す必要はないです。静寂も演出のひとつです。
特にASMR系の作品は、BGMなしで環境音だけの方が没入感が高まることが多いです。「BGMを入れなきゃ」という義務感は捨てた方がいい場面もあります。僕も最近はBGMを使わないトラックを意図的に作ることがあります。
よくある質問
Q: JASRACに登録されている曲は使えますか?
基本的に同人作品で使うのは避けた方がいいです。使用料の支払いや手続きが必要になりますし、楽曲ごとに権利者の許諾が必要な場合もあります。ロイヤリティフリーの素材を使う方がはるかにシンプルです。
Q: ゲーム実況で使ってるBGMを同人音声にも使い回せますか?
ライセンスの内容によります。「YouTubeでの使用のみ許諾」という素材を同人音声(有料販売)で使うのはNGです。必ず利用規約で「商用利用」「有料作品への使用」が許諾されているか確認してください。
Q: SEをどれくらい入れればいいですか?
ジャンルによりますが、「声の邪魔をしない量」が目安です。耳かき系ならSEが主役級の扱いになりますが、シチュエーションボイスなら環境音を薄く敷く程度で十分なこともあります。迷ったら少なめから始めて、足りないと感じたら足す方が安全です。
Q: 効果音の品質はどのくらい重要ですか?
かなり重要です。特にイヤホン・ヘッドホンで聴く前提の同人音声では、低品質なSEは目立ちます。サンプルレートは最低でも44.1kHz / 16bitは欲しいところです。
まとめ
SE・BGMは同人音声の「空気」を作る要素です。声が主役なのは間違いないですが、空気がないと息ができないのと同じで、SE・BGMがないと作品は窒息してしまう。
まずは無料素材サイトで自分の作品に合う音を探してみてください。著作権・ライセンスは面倒に感じるかもしれませんが、一度理解してしまえばそこまで難しくないです。 「使う前に利用規約を読む」——この習慣さえあれば大丈夫。
同人音声の作り方ガイドで制作全体の流れを確認しつつ、編集ソフトのガイドも合わせて読むと、SE・BGMの扱い方がさらにイメージしやすくなると思います。