同人音声の編集ソフト比較と基本テクニック:無料ソフトから始める音声編集

同人音声の編集に使えるソフトを無料・有料別に比較。ノイズ除去、SE追加、マスタリングの基本テクニックも解説します。

by ぬまぬま

編集で作品の印象は激変します

ぬまぬまです。今日は同人音声の編集ソフトと基本テクニックについて書いていきます。

声優さんから届いた音声データ、そのまま公開してませんよね? ……してないですよね?(僕は1作目でほぼそのまま出しました。反省してます

同人音声の編集って地味な作業なんですが、ここの質で作品の印象がガラッと変わります。ノイズがサーッと聞こえる作品と、クリアで心地よい作品、どっちを聴きたいかと言えば当然後者ですよね。編集は声優さんの演技を最大限引き出すための工程なんです。

この記事では、編集ソフトの選び方から実際の編集テクニックまで、僕がやっていることをそのまま書きます。

編集ソフト比較——結論から言うとAudacityで始めてREAPERに移行がベスト

主要ソフト比較テーブル

ソフト価格OS難易度マルチトラックプラグイン対応おすすめ度
Audacity無料Win/Mac/Linux初心者向け限定的一部対応★★★★
REAPER$60(買い切り)Win/Mac/Linux中級者向け完全対応VST/AU対応★★★★★
Studio One Prime無料Win/Mac初心者〜中級完全対応一部制限★★★
Adobe Audition月額2,728円程度Win/Mac中級〜上級完全対応VST対応★★★★
Logic Pro23,800円程度(買い切り)Macのみ中級〜上級完全対応AU対応★★★

各ソフトの詳細

Audacity — 最初の一歩として最強

無料で使えて、基本的な編集機能が一通り揃ってます。インストールして即使える手軽さが最大の魅力です。ノイズ除去、カット、フェードなど、同人音声の編集に必要な機能は全部あります。

デメリットは、マルチトラック編集が弱いこと。SEやBGMを何層も重ねるような複雑な編集は少しやりづらいです。でも「まず1作品出す」という段階なら十分すぎる性能です。

REAPER — コスパの暴力

$60の買い切りでプロ級の機能が全部使えます。マルチトラック、VST/AUプラグイン完全対応、カスタマイズ性の高さ、動作の軽さ。正直なぜこの値段で提供できているのか理解できないレベルの高機能さです。しかも60日間の無料評価期間があるので、購入前に試せます。

僕はAudacityで3ヶ月くらい編集した後にREAPERに移行しましたが、もっと早く移行すればよかったと思ってます。

Adobe Audition — ノイズ除去は最強クラス

サブスクリプション型なのでランニングコストがかかりますが、ノイズ除去の性能は頭一つ抜けてると言われてます。他のAdobe製品を使っているならCreative Cloudのプランで一緒に使えることもあります。

Logic Pro — Mac限定だけど高品質

Macユーザーで音楽制作にも興味があるなら選択肢に入ります。ただし同人音声の編集だけが目的なら、REAPERの方がコスパは良いです。

Audacityで始める——最初にやること

インストールから初期設定まで

  1. Audacity公式サイトからダウンロード・インストール
  2. 環境設定でオーディオデバイス(マイク・ヘッドフォン)を指定
  3. サンプルレートを48kHz、ビット深度を32bit floatに設定
  4. テスト録音して入力レベルを確認

<CalloutBox type="tip">編集作業は必ずヘッドフォンで行ってください。スピーカーだと部屋の反響で正確な音が判断できません。モニター用ヘッドフォンがベストですが、なければ手持ちのイヤホンでもスピーカーよりは遥かにマシです。</CalloutBox>

プロジェクトの保存習慣

Audacityは不意に落ちることがあります(僕は2時間分の編集を失ったことがあります。あの喪失感は言葉にできない)。こまめにプロジェクトを保存する癖をつけてください。10分に1回は保存。ショートカットキー(Ctrl+S / Cmd+S)を体に染み込ませましょう。

基本編集テクニック

1. ノイズ除去

同人音声の編集で一番重要な工程がノイズ除去です。声優さんが宅録で収録してくれた音声には、どうしても環境ノイズが含まれます。

Audacityでのノイズ除去手順:

  1. 音声の冒頭にある無音部分(声が入っていない数秒)を選択
  2. 「エフェクト」→「ノイズリダクション」→「ノイズプロファイルの取得」
  3. 音声全体を選択(Ctrl+A / Cmd+A)
  4. 再度「ノイズリダクション」を開き、設定を調整して適用
設定項目推奨値説明
ノイズ低減量6〜12dB大きすぎると声が不自然になる
感度4〜6高すぎると声まで削れる
周波数平滑化3〜6処理の滑らかさ

大事なのは「やりすぎない」ことです。ノイズを完璧に消そうとすると、声自体がロボットみたいになります。多少のノイズが残っていても、声が自然に聞こえるほうがずっと大事です。僕は最初ノイズを全部消そうとして、声がカスカスになった経験があります(あれは声じゃなくて風だった)。

2. 無音カット・間の調整

声優さんの音声には、テイク間の無音やNGテイクが含まれていることがあります。

  • 不要な無音部分をカット
  • 間(ま)が長すぎる部分を短く調整
  • 逆に間が短すぎる部分に無音を挿入

ここで大事なのは台本の演出意図に沿った間を残すことです。全部の間を短くすると、聴いていて息苦しい作品になってしまいます。特にASMR系や癒し系は間が命です。

3. フェードイン・フェードアウト

各トラックの冒頭にフェードイン、末尾にフェードアウトを入れます。

  • フェードイン: 0.5〜1秒程度
  • フェードアウト: 1〜3秒程度

いきなり音が始まったり、ブツッと切れたりすると聴き手がびっくりするので、フェードの処理は必須です。地味な作業ですが、聴き心地に直結します。

4. 音量の正規化(ノーマライズ)

トラックごとに音量がバラバラだと、聴いていてストレスになります。

  • Audacity: 「エフェクト」→「ノーマライズ」でピークを-1dBに揃える
  • REAPER: トラックごとのゲインで調整

SE・BGMの追加方法

SEの追加

同人音声にSEを入れると臨場感が格段に上がります。耳かきの音、ドアの開閉音、雨音など、シチュエーションに合ったSEを台本の指示に従って配置します。

SEの配置のコツ:

ポイント説明
タイミングセリフとSEが被りすぎないように調整
音量バランスSEが声より大きくならないように。声が主役です
パン(左右)バイノーラル作品ではSEの定位も意識する
フェードSEの開始・終了もフェード処理する

BGMの追加

BGMは作品の雰囲気を決定づける重要な要素ですが、**同人音声では「入れすぎ注意」**です。声が主役なので、BGMは控えめに。

  • 音量は声の-15〜-20dB程度に抑える
  • トラックの切れ目でクロスフェードする
  • ASMR系作品ではBGMなしの方が良いことも多い

素材の入手先

効果音やBGMの素材は、フリー素材サイトから入手するのが一般的です。利用規約は必ず確認してください。同人音声での使用がOKかどうか、クレジット表記が必要かどうかなど、サイトによってルールが違います。

マスタリングの基礎

マスタリングは編集工程の最後の仕上げです。全トラックの音質・音量を統一して、聴き手にとって快適な音源に仕上げます。

ラウドネス目標

項目推奨値
ラウドネス-14〜-16 LUFS
ピーク-1dB以下
ダイナミックレンジ自然な範囲を維持

-14〜-16 LUFSというのは、一般的なストリーミングサービスの基準値に近い数値です。同人音声はイヤホン・ヘッドフォンで聴かれることが多いので、あまり音圧を上げすぎないほうがいいです。聴き手の耳に優しい作品を目指しましょう。

コンプレッサーの使い方

コンプレッサーは音量のばらつきを抑えるエフェクトです。

  • ささやき声と通常の会話で音量差が大きい場合に有効
  • かけすぎると抑揚がなくなるので注意
  • 同人音声の場合はゆるめの設定がおすすめ(レシオ2:1〜3:1程度)

イコライザー(EQ)

声の聴きやすさを調整するのに使います。

  • 80Hz以下をカット(ハイパスフィルター): 不要な低音ノイズを除去
  • 200〜400Hz付近: こもりを感じたら少し下げる
  • 2〜5kHz付近: 声の明瞭度を上げたい場合に少し上げる

EQもやりすぎ注意です。 声優さんの声質自体を変えてしまうほどかけるのはNGです。「ちょっと聴きやすくする」くらいの気持ちで。

おすすめ無料プラグイン(VST)

REAPERに移行したら、VSTプラグインを追加することでさらに高度な編集ができます。無料でも優秀なものがあるのでいくつか紹介します。

プラグイン用途特徴
TDR NovaEQ視覚的にわかりやすいダイナミックEQ
OTT (Xfer Records)コンプレッサーマルチバンドコンプ。微調整向き
Voxengo SPANアナライザー周波数分析で音の状態を可視化
Bertom Denoiserノイズ除去リアルタイムノイズ除去

REAPERにはデフォルトで「ReaEQ」「ReaComp」「ReaGate」など、高品質なプラグインが付属しているので、まずはそれだけでも十分です。外部プラグインは「もう少しこだわりたい」と思ったタイミングで追加すればOKです。

作業効率を上げるコツ

ショートカットキーを覚える

再生/停止(Space)、元に戻す(Ctrl+Z)、保存(Ctrl+S)、全選択(Ctrl+A)。最低限この4つを体に染み込ませるだけで作業効率が倍になります。

ファイル命名規則を決めておく

作品名_Track01_導入.wav のように、トラック番号とパート名を含むルールを最初に決めておくと管理が楽です。台本の文字数から各トラックの時間を見積もるには台本の文字数カウントが便利です。

よくある質問

Q. MacとWindowsどっちがいい?

どちらでもOKです。Audacity、REAPERはどちらのOSでも使えます。Logic ProだけはMac限定ですが、同人音声の編集だけならREAPERのほうがコスパが良いので、OS選びの決め手にはならないです。

Q. スマホで編集できる?

できなくはないですが、おすすめしません。波形の細かい編集は画面が小さいと厳しいですし、プラグインも使えません。PCでの作業を強く推奨します。

Q. 編集を外注することはできる?

できます。「MIX師」と呼ばれる音声編集の専門家に依頼する選択肢もあります。ココナラやX(Twitter)で探せます。相場は1トラックあたり数千円程度からですが、作品全体を任せると数万円になることもあります。編集に自信がない最初のうちは外注して、出来上がった音源を参考にしながら自分でも学んでいくのはありだと思います。

Q. 動画編集ソフトでも音声編集できる?

DaVinci ResolveやPremiereなどの動画編集ソフトにも音声編集機能はありますが、音声専用ソフトに比べると機能が限定的です。特にノイズ除去やマスタリングの品質は専用ソフトのほうが圧倒的に上です。同人音声の編集には音声専用ソフトを使いましょう。

まとめ——まずはAudacityで1作品仕上げてみてください

編集ソフト選びで迷って手が止まるのが一番もったいないです。

  1. Audacityをインストールする(無料、3分で完了)
  2. ノイズ除去、カット、フェードの3つを覚える
  3. 1作品を仕上げる
  4. 物足りなくなったらREAPERに移行する

この流れが鉄板です。編集スキルは作品を重ねるごとに確実に上がっていきます。僕の1作目と今の作品を比べたら、音質が全然違います。でも1作目がなかったらこの成長はなかったんですよね。

機材の話は同人音声の収録環境と機材ガイドに、制作全体の流れは同人音声の作り方完全ガイドにまとめてあるので、合わせてどうぞ。

完璧な編集より、完成した作品のほうがずっと価値があります。 まずは手を動かしましょう。

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